2025年2月、丸吉ロジ(株)は中央鋼材(株)様との協業により、東京〜仙台間の鋼材輸送でモーダルシフトの導入を進めることを発表しました。
この取り組みは物流専門紙にも取り上げられ、当社が進める「輸送効率の向上」や「ドライバーの働きやすさの実現」に関する内容が、紙面の一面で紹介されています。
混載による運用や専用車両の活用といった、現場目線の具体策も詳しく掲載されました。
記事の詳細は以下のリンクよりご覧ください。
※一部有料電子版のご契約者のみ閲覧可能なサイトが含まれます。
鉄鋼新聞
物流ニッポン
産業新聞
今回の記者発表で、弊社代表 吉谷隆昭がお伝えした当社の取り組み内容について、ポイントをわかりやすくご紹介いたします。
目次
荷主企業と物流事業者の「本当の連携」に向けて
現場起点の改善で、輸送効率と安全性を両立
物流現場では、輸送を担う事業者と荷主企業との間に十分な対話の機会が設けられていないことが多く、課題の共有や改善が進みにくい状況が続いています。
それぞれが個別に動き、現場の混乱や非効率が解消されないまま、日々の業務が積み重なっているケースも少なくありません。
そうした現状を踏まえ、当社では荷主企業と物流事業者が連携して問題を解決できる体制づくりに取り組んでいます。
まずは鉄鋼センター内の情報共有を円滑にするため、以下のようなデジタルツールを導入しました。
■倉庫荷待ち時間の可視化システム
■在庫管理の一元化システム
■GPSを活用した配車管理システム
■倉庫内の安全確認のためのカメラシステム
■社員全員へのスマートフォン支給とグループLINEによる情報連携
さらに、月に1回開催される協議会では、管理者だけでなく実際に現場を知るスタッフも参加し、人手不足や残業の長期化といったリアルな課題を共有・協議しています。
現場起点での改善案が、組織内で即時に反映される仕組みができたことで、現場スタッフの意識も大きく変わり始めています。
こうした取り組みの成果として、ドライバーの荷待ち時間の削減や現場の安全性の向上、輸送の効率化が実現。
何より、話し合う場があるということが、現場の士気や協力意識を高めています。
一見アナログに見える“対話”ですが、現場の声を放置せず、確実に改善に反映させることこそが、これからの持続可能な物流において非常に重要な要素だと私たちは考えています。
トレーラーによる混載輸送を実現。“できない”を越える現場力と工夫
真の混載輸送へ
「混載輸送」と聞くと、効率的でエコなイメージを抱かれるかもしれません。
しかし、特にトレーラーによる混載輸送の実現は、想像以上に難易度の高い取り組みです。
実際、形状や重量がバラバラな鋼材を1台のトレーラーに複数件分積み込み、各地に安全かつ確実に届けるには、相当なノウハウと連携体制が求められます。
当社はおそらく、業界でも数少ない「トレーラー混載輸送」を現場レベルで実現している企業の一つです。
積載後のシートがけやラッシング(荷物の固定)だけでもかなりの作業量があり、一般的な運輸会社の現状としては通常、2〜3件の配送が限界と言われています。
さらに、集荷件数の多さや荷物の細かさ、荷積み順、配達先の遠近、待ち時間、悪天候時、労働時間の制約など、効率の良い混載輸送は理想であっても実現にはかなり難しいものでした。
その中で当社が取り組んだのが、倉庫作業者とドライバーの情報共有体制の強化です。
まず、荷物の積み方や荷下ろし順をドライバー任せにせず、倉庫側でも「どう積んだら届けやすいか」を考える文化をつくるため、合同の勉強会を定期開催。積載方法を共有する【情報共有シート】も活用し、試行錯誤を重ねて少しずつ現場に定着させていきました。
倉庫作業と輸送の一体化【ワンチーム方式】
当社がこの混載輸送を実現できた背景には、「倉庫作業と輸送の一体化」があります。
一般的な物流会社では、ドライバーと倉庫担当が完全に分業されているケースが多いですが、当社では倉庫も自社で管理しており、作業スタッフとドライバーの間で意思統一しやすい体制があります。
また、ヘッド1台で複数のシャーシを運用できる仕組みや、シャーシごとに積み込みを済ませておく「予備積載」の体制により、配送効率も大きく向上。
倉庫には、トレーラーを操作できる免許を持ち、必要に応じてシャーシを動かすことのできる“マルチプレイヤー”が在籍しているのも当社の強みです。
その結果、シャーシの積載率・稼働率の向上や、1人のドライバーで複数件の配送をこなせる省力化が実現。CO₂削減効果も高く、まさに“乗り合いタクシー”や“旅客機”のように、多様な荷主様のニーズに応える柔軟な輸送スタイルが可能になりました。
↑混載輸送の様子
現在では、東北の過疎地への配送も、混載トレーラー1台にまとめて運び、現地の配送センターで各荷主様が引き取る仕組みが機能しています。明細が10社分に及ぶこともあり、地域のお客様からも「助かっている」との声を多くいただいています。
従来、「ドライバーが朝早くから届ける→積んでシートがけ→集荷→また戻る→積む」とされてきた鉄鋼物流の常識を、現場発の取り組みで変えてきた丸吉ロジ。
荷主企業との信頼関係のもと、これからも持続可能で効率的な物流の形を追求していきます。
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